はじめに
車検の仕組みについてはこちらの記事で解説しています。
では、建設機械でも自動車の登録が必要なのはなぜでしょうか。この記事では、その根拠を道路運送車両法の条文から読み解いていきます。法規って難しそう…という方も、一緒に条文を追いながら読んでみてください。
道路運送車両法第4条:登録しないと公道を走れない
道路運送車両法第4条はこう定めています。
第4条 自動車(軽自動車、小型特殊自動車及び二輪の小型自動車を除く。以下第二十九条から第三十二条までを除き本章において同じ。)は、自動車登録ファイルに登録を受けたものでなければ、これを運行の用に供して(=使用して)はならない。
括弧書きで除かれた一部を除いて、自動車は自動車登録ファイルに登録しなければ運行の用に供することはできない、と書かれています。
「運行」とは何か
ここで「運行」という言葉が気になりましたので、ちょっと調べてみました。コトバンクで調べると「電車やバスなどが決まった路線をたどって行くこと」とあって、自動車に使う言葉なんでしょうか?
実は道路運送車両法第2条第5項にちゃんと定義がありました!
「運行」とは、人又は物品を運送するとしないとにかかわらず、車両を当該装置の用い方に従い用いることをいう。
つまり、人や物を運ぶかどうかに関わらず、車両をその用途どおりに使うことをいいます。第4条の文脈では、道路を走ることもこれにあたります。
なので第4条の意味は、「登録なしに道路上で車両を使用してはならない」と読めます。
自動車の種別とは(法第3条)
第4条では「軽自動車と小型特殊自動車は除く」とありましたね。では小型特殊自動車って何でしょうか。ここで自動車の種別を整理してみます。
道路運送車両法第3条はこう定めています。
(自動車の種別) 第3条 この法律に規定する普通自動車、小型自動車、軽自動車、大型特殊自動車及び小型特殊自動車の別は、自動車の大きさ及び構造並びに原動機の種類及び総排気量又は定格出力を基準として国土交通省令で定める。
種別は5種類です。
- 普通自動車
- 小型自動車
- 軽自動車
- 大型特殊自動車
- 小型特殊自動車
これらは大きさ・構造・原動機の種類・排気量または定格出力で区別され、具体的な基準は国土交通省令に委ねられています。
【コラム】法令の探し方
「国土交通省令」ってどこを探せばいいか。たぶん、初めての人だとわからないと思いますので、ちょっと説明しますね。法令には法律・政令・省令という階層があって、具体的な基準は下位の法令に書かれています。この仕組みについては、別記事で解説する予定です。
今回は結論だけ示すと、道路運送車両法施行規則(省令)の第2条および別表第一に種別の基準が定められています。
e-Govで確認できます。 https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000800074#Mpat_1
別表第一:種別の具体的基準
別表第一は情報量が多いので、建設機械に関係する部分に絞って読み解いていきます。
ポイントは小型特殊自動車の定義を先に確認することです。というのも、大型特殊自動車の定義に「小型特殊自動車以外」という表現が出てくるためです。なので、小型特殊自動車から先に確定させていきましょう。
小型特殊自動車の条件
イに掲げる(=列挙されている)自動車(ショベル・ローダ、タイヤ・ローダなど)のうち、以下をすべて満たすもの:
- 全長4.7m以下
- 全幅1.7m以下
- 全高2.8m以下
- 最高速度15km/h以下
またはロに掲げる(=列挙されている)自動車(農耕トラクタなど)のうち、最高速度35km/h未満のもの。
大型特殊自動車
上記の条件を満たさないイまたはロに掲げる自動車が大型特殊自動車となります。
建設機械はイに該当するものが基本です。なので、サイズや最高速度が小型特殊自動車の条件を超えるものは大型特殊自動車に区分されます。
【コラム】令第1条より:軽車両の定義
余談ですが、道路運送車両法施行令第1条には「軽車両」の定義が書かれています。
第1条 法第2条第4項の軽車両は、馬車、牛車、馬そり、荷車、人力車、三輪自転車(側車付の二輪自転車を含む。)及びリヤカーをいう。
リヤカーや牛車だけでなく、馬そりまで含まれているんですね!馬そりとは、ばんえい競馬でおなじみの、馬が引くそりのこと。北海道では冬の観光資源にもなっているようです。法令を読んでいると、こういった思わぬ発見があるのも面白いところです。
まとめ
整理するとこうなります。
- 道路運送車両法第4条により、軽自動車・小型特殊自動車を除く自動車は登録なしに公道走行できない
- 建設機械の多くは大型特殊自動車に区分される
- したがって、公道を走る建設機械は原則として登録が必要
次回は、この「登録」とは何か、そして建設機械メーカーが行う新型届出の仕組みについて解説します。