はじめまして。建設機械の法規関係に興味があるノームと申します。ここでは、私が気になって調べた主に建設機械に関係する法規についてまとめたことを書いていこうと思います。調査や文章作成にはAIも活用していますが、内容は自分でも確認したうえで投稿しています。まだ勉強中なので、もし間違ってる箇所とかあれば、指摘いただけると幸いです。
この記事を読むとわかること
- 「車検」という言葉が、実は法律上の正式名称ではないこと
- 道路運送車両法が定めている「登録」と「検査」という2つの柱
- 建設機械(大型特殊自動車)に登録が必要な理由
このブログの読み方
このブログでは、法令の原文を一緒に読みながら進めていきます。私が結論だけをまとめるのではなく、「条文のどこに何が書いてあるか」を一緒に確認し、読者のみなさんが自分でも法令を読めるようになることを目指しています。
法令は、e-Gov法令検索というサイトで誰でも無料で読めます。
e-Gov法令検索:https://laws.e-gov.go.jp/
使い方は簡単で、サイト内の検索窓に法令名(例:「道路運送車両法」)を入れて検索すると、その法令の全文が表示されます。条文の番号から該当箇所に飛ぶこともできます。
ぜひ、この記事を読みながら、お手元でe-Govの道路運送車両法を開いてみてください。一緒に条文を追いながら読み進めると、ぐっと理解が深まるはずです。
道路運送車両法(e-Gov):https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185
さて、最初のテーマは「車検」です。みなさん、建設機械でも公道を走る場合があるのってご存知でしょうか?例えば、ホイールローダーやホイールショベルなんかが有名です。
そして、公道を走る場合、建設機械も当然車検を受けて、合格する必要があります。
この記事では、その第一歩として「車検とは何か」を整理します。
なお、建設機械にはいろいろな種類がありますが、このシリーズでは、その中でも車検に関係する「大型特殊自動車」にあたる建設機械(ホイールローダーやホイールショベルなど)を対象にお話しします。
「車検」とは?
「車検」という言葉、よく聞きますよね。では、車検の正式名称は何でしょうか。
調べてみると、多くのサイトで「車検の正式名称は自動車検査登録制度です」と書かれています。国土交通省のサイトでも「自動車検査登録制度」という言葉が使われていて、これは大きく2つの目的を持つ制度だと説明されています(※1)。ひとつは、その車の持ち主が誰なのかを公に記録すること(これを「登録」といいます)。もうひとつは、その車がきちんと安全・環境の基準を満たしているかを確認すること(これを「検査」といいます)。
つまり「自動車検査登録制度」とは、その名のとおり「検査」と「登録」をまとめた制度の呼び名、というわけですね。
ところで、この制度の根拠になっている法律が「道路運送車両法」です。せっかくなので、実際に条文を開いて確かめてみましょう。
すると、面白いことに気づきます。道路運送車両法を読んでみても、「自動車検査登録制度」という言葉も「車検」という言葉も、どこにも出てこないんです。どちらも、法律で決められた正式な名前ではなく、通称(よく使われる呼び名)だったんですね。
では、法律は実際に何を定めているのでしょうか。これは、法律の「目次」にあたる章の構成を見るとよくわかります(※2)。
- 第二章 自動車の登録等(第4条〜第39条)
- 第五章 道路運送車両の検査等(第58条〜第76条)
「登録」と「検査」が、それぞれ別の章に分かれて定められています。この2つを合わせて、ふだん「自動車検査登録制度」と呼んでいるわけです。そして、この制度で検査を受けて合格することを、口語で「車検」と呼んでいるんですね(※3)。
さらに言うと、私たちがふだん「車検」と言うとき、実際に指しているのは、主にこのうちの「継続検査」(第62条)です。継続検査が何かは、記事3で詳しく見ていきます。
ここまでをいったん整理します。
- 「車検」も「自動車検査登録制度」も、通称(法律上の正式な言葉ではない)
- 法律が実際に定めているのは「登録」(第二章)と「検査」(第五章)の2つ
- ふだん「車検」と呼んでいるのは、主に継続検査(第62条)
法律が「登録」と「検査」を定めているのなら、まずは先に出てくる「登録」から読んでいくのが分かりやすそうです。この記事では、第二章の登録から確認していきます。検査については次回の記事で扱います。
法規の読み方のコツ
条文を読む前に、これからこのシリーズで何度も使う、法規の読み方のコツを2つ紹介します。
コツ① 自分に関係ない箇所は読み飛ばす
法規には自分に関係しない記述も多く含まれています。関係ない箇所は一旦読み飛ばして、必要な部分に集中する方が理解しやすいです。
コツ② 括弧を飛ばして読む
文章の意味を把握するときは、まず括弧を飛ばして読み、後から括弧の中を補足する読み方がおすすめです。
これらのコツについては、別のコラムで詳しく説明する予定です。
登録とは(第4条)
では、第二章の最初、第4条を読んでみましょう。
(登録の一般的効力) 第四条 自動車(軽自動車、小型特殊自動車及び二輪の小型自動車を除く。以下第二十九条から第三十二条までを除き本章において同じ。)は、自動車登録ファイルに登録を受けたものでなければ、これを運行の用に供してはならない。
コツ②で括弧を飛ばして読むとこうなります。
自動車は、自動車登録ファイルに登録を受けたものでなければ、これを運行の用に供してはならない。
つまり、自動車は自動車登録ファイルに登録を受けないと、運行の用に供してはならない、ということです。
ここで「運行の用に供する」という、少し堅い言い回しが出てきました。これはこの先も何度も出てくる表現なので、ここで意味を押さえておきましょう。「〇〇の用に供する」とは、「〇〇のために使う」という意味です。つまり「運行の用に供する」は「運行のために使う」、かみくだくと「車を(道路で)使用する」ということですね。「運行」の正確な意味についてはこちらの記事で説明していますが、ここでは「車を使用する」と理解しておけば大丈夫です。
次に括弧の中を補足します。括弧書きには「軽自動車、小型特殊自動車及び二輪の小型自動車を除く」とあります。これらを除いた自動車が登録の対象です。
では、ここで除かれている「小型特殊自動車」とは何でしょうか。そもそも自動車の種別とはどうなっているのか、整理してみます。
自動車の種別とは(第3条)
自動車の種別は、第3条に定められています。
(自動車の種別) 第三条 この法律に規定する普通自動車、小型自動車、軽自動車、大型特殊自動車及び小型特殊自動車の別は、自動車の大きさ及び構造並びに原動機の種類及び総排気量又は定格出力を基準として国土交通省令で定める。
種別は次の5種類です。
- 普通自動車
- 小型自動車
- 軽自動車
- 大型特殊自動車
- 小型特殊自動車
これらは大きさ・構造・原動機の種類・排気量または定格出力で区別され、具体的な基準は国土交通省令(道路運送車両法施行規則 別表第一)に定められています。
このうち、このシリーズで扱う建設機械(ホイールローダーやホイールショベルなど)の多くは、「大型特殊自動車」に区分されます。大型特殊自動車は、ざっくり言うと、ショベル・ローダなどの作業用自動車のうち、大きさや最高速度が一定以上のものです(小型特殊自動車にあたらないもの)。建設機械がなぜ大型特殊自動車になるのか、その区分の詳しい中身(別表第一の読み方や、小型特殊との境界など)については、こちらの記事で詳しく扱っています。
ここで第4条に戻ると、登録の対象から除かれていたのは軽自動車・小型特殊自動車・二輪の小型自動車でした。大型特殊自動車はこの中に入っていません。つまり、大型特殊自動車にあたる建設機械は、登録が必要、ということになります。
まとめ(記事1)
今回わかったことを整理します。
- 「車検」「自動車検査登録制度」はどちらも通称で、法律が定めているのは「登録」(第二章)と「検査」(第五章)。
- このシリーズで扱う建設機械(大型特殊自動車)は、登録が必要な自動車である。
次回予告
いよいよ次回は「検査」の章に入り、新規検査の仕組みを一緒に読んでいきます。
→ 記事2:新規検査とは|建設機械を初めて使うときの検査(第58条〜第60条)
参考リンク
※1 国土交通省 自動車検査登録総合ポータルサイト「検査登録の役割」 https://www.jidoushatouroku-portal.mlit.go.jp/jidousha/kensatoroku/role/index.html
※2 e-Gov法令検索 道路運送車両法 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185
※3 Wikipedia「自動車検査登録制度」(補足) https://ja.wikipedia.org/wiki/自動車検査登録制度