建機屋の法規ノート

新規検査とは|建設機械を初めて使うときの検査(第58条〜第60条)

ノームです。前回は、「車検」は通称で、法律が実際に定めているのは「登録」と「検査」の2つだということ、そして建設機械(大型特殊自動車)は登録が必要な自動車だということを確認しました。→ 記事1

この記事を読むとわかること

  • 検査について定めているのは道路運送車両法の第五章であること
  • 新規検査とは、新車などを初めて使うときに受ける検査であること
  • 新規検査と新規登録がセットで進む仕組み

今回は、もう一方の柱である「検査」の章に入っていきます。検査にはいくつか種類がありますが、まずは「新規検査」から読んでいきましょう。

なお、このシリーズでは法規の読み方のコツを2つ使います(詳しくは記事1)。

  • コツ① 自分に関係ない箇所は読み飛ばす
  • コツ② 括弧を飛ばして読む

検査について条文を読んでみる

検査について定めているのは第五章です。まずは第五章の最初、第58条を読んでみましょう。

(自動車の検査及び自動車検査証) 第五十八条 自動車(国土交通省令で定める軽自動車(以下「検査対象外軽自動車」という。)及び小型特殊自動車を除く。以下この章において同じ。)は、この章に定めるところにより、国土交通大臣の行う検査を受け、有効な自動車検査証の交付を受けているものでなければ、これを運行の用に供してはならない。

まずコツ②の括弧を飛ばして読むとこうなります。

自動車は、この章に定めるところにより、国土交通大臣の行う検査を受け、有効な自動車検査証の交付を受けているものでなければ、これを運行の用に供してはならない。

どうやら、

  • 国土交通大臣の行う検査を受ける必要がある
  • 有効な自動車検査証の交付を受ける必要がある
  • これらは、この章で定められている

そうでなければ、自動車を運行の用に供してはならない、ということですね。

つまり、検査を受けて有効な自動車検査証の交付を受けていないと、その車は使用できない、ということです。

次にコツ①とコツ②を使って括弧の中を補足します。括弧書きには「国土交通省令で定める軽自動車(検査対象外軽自動車)及び小型特殊自動車を除く」とあります。これらを除いた自動車、つまり大型特殊自動車にあたる建設機械も検査の対象になる、ということです。

(ここで出てきた「検査対象外軽自動車」とは、軽自動車のうち検査が不要なもの、というイメージです。逆に、検査が必要な軽自動車は、次に出てくる「検査対象軽自動車」と呼ばれます。紛らわしいですが、「検査の対象か、対象外か」で呼び分けているわけですね。いずれも建設機械の話からは外れるので、ここでは深入りしません。)

なお、第58条の2項・3項は自動車検査証がどのようなものかについて書かれているので、今回は省略します。

ちなみに、前回の登録(第4条)では「軽自動車、小型特殊自動車及び二輪の小型自動車」が対象から除かれていました。今回の検査(第58条)で除かれているのは「検査対象外軽自動車及び小型特殊自動車」で、少し顔ぶれが違います。これは登録と検査で制度の目的が違うためですが、ここでは「除かれる車種は条文ごとに少しずつ違うことがあるんだな」と押さえておけば十分です。いずれにせよ、建設機械(大型特殊自動車)はどちらの対象からも除かれていません。


検査の種別(第58条の2)

では、検査とは具体的に何でしょうか。法規を読み進めてみます。

第58条の2に検査の実施方法が規定されています。

(検査の実施の方法) 第五十八条の二 この章に定めるところにより国土交通大臣の行なう検査の項目その他の検査の実施の方法は、新規検査その他の検査の種別ごとに国土交通省令で定める。

ここから、検査には新規検査とその他の検査があり、それぞれの検査の種別ごとに国土交通省令で定めているということです。

では、まず新規検査について読み進めましょう。


新規検査(第59条)

第59条に新規検査が規定されています。

その前に、これから「項」という言葉が出てきます。法律の条文は「条」の中がいくつかの段落に分かれていて、その一つひとつを「項」と呼びます。第59条でいうと、頭から始まる文章が第1項、「2」から始まる文章が第2項、というように続きます。条文の細かい構造(条・項・号)については、別記事で説明する予定です。

まず、第1項の原文をそのまま載せます。長いですが、ひるまずに。

(新規検査) 第五十九条 登録を受けていない第四条に規定する自動車又は次条第一項の規定による車両番号の指定を受けていない検査対象外軽自動車以外の軽自動車(以下「検査対象軽自動車」という。)若しくは二輪の小型自動車を運行の用に供しようとするときは、当該自動車の使用者は、当該自動車を提示して、国土交通大臣の行なう新規検査を受けなければならない。

ここでコツ①②の出番です。括弧を飛ばし、建設機械に関係する部分だけを残して読み下すと、骨組みはこうなります(これは私の読み下しで、原文ではありません)。

登録を受けていない(第4条に規定する)自動車を運行の用に供しようとするときは、当該自動車の使用者は、当該自動車を提示して、国土交通大臣の行なう新規検査を受けなければならない。

「登録を受けていない第四条に規定する自動車」とは、前回見た第4条により自動車登録ファイルに登録を受けないと使用してはいけない自動車のことです。ここでは、メーカーで製造したばかりで、まだ何も登録されていない車が対象になるんだな、と理解しておきましょう。

なお、読み飛ばした「又は」以降——検査対象軽自動車と二輪の小型自動車——は、登録の代わりに「車両番号の指定」という別の仕組みを使う自動車の話です(次の第60条で少しだけ出てきます)。建設機械はこちらには該当しないので省略しました。ちなみに、「検査対象軽自動車」という言葉の定義(括弧書き)が、この第59条第1項の中に置かれているんですね。

つまり第1項の意味は、登録を受けていない自動車を使用しようとするときは、使用者は自動車を提示して新規検査を受けなければならない、ということです。

次に第2項を見てみましょう。

2 新規検査(検査対象軽自動車及び二輪の小型自動車に係るものを除く。)の申請は、新規登録の申請と同時にしなければならない。

ここで「新規登録」という新しい言葉が出てきました。新しい単語が出てきたので法規を調べてみると、第7条にその定義が書いてあり、自動車登録ファイルに初めて登録することのようですね。自動車登録ファイルについては、別記事で説明したいと思います。

ここでは、新規検査は新規登録という手続きとセットで申請するんだな、と押さえて先に進みましょう。

次に第3項です。

3 国土交通大臣は、新規検査を受けようとする者に対し、当該自動車に係る点検及び整備に関する記録の提示を求めることができる。

新規検査を受けるときに、点検・整備の記録の提示を求めることができるとあります。点検・整備については、別の記事で詳しく説明する予定です。

最後に第4項です。

4 第七条第三項(第二号に係る部分に限る。)、第四項(第二号に係る部分に限る。)及び第五項の規定は、第一項の場合に準用する。

「準用する」とあります。準用とは、ある条文の規定を、別の場面にもあてはめて使う、ということです。ここでは第7条の規定を、新規検査の場面にもあてはめる、と言っています。

では、あてはめる元の第7条には何が書いてあるのでしょうか。第7条を見にいくと、これは新規登録の申請手続きを定めた条文で、第3項以降は「一定の場合には、現車を提示する代わりに書面の提出で済ませてよい」という、手続きの細かいルールでした。

第59条第4項は、この手続きのルールを新規検査にも準用する、という話です。つまり新規登録まわりの手続きの細部にあたるので、ここでは一旦飛ばして、別記事(自動車登録ファイル・新規登録の回)で扱うことにします。


新規検査に合格すると(第60条)

新規検査を受けると、どうなるのでしょうか。第60条を見てみます。

(自動車検査証の交付等) 第六十条 国土交通大臣は、新規検査の結果、当該自動車が保安基準に適合すると認めるときは、自動車検査証を当該自動車の使用者に交付しなければならない。この場合において、検査対象軽自動車及び二輪の小型自動車については車両番号を指定しなければならない。

コツ①で建設機械に関係する部分に絞ると、前半が本筋です。

国土交通大臣は、新規検査の結果、当該自動車が保安基準に適合すると認めるときは、自動車検査証を当該自動車の使用者に交付しなければならない。

つまり、新規検査で保安基準に適合していると認められれば、自動車検査証が交付される、ということですね。

ここで「保安基準」という言葉が出てきました。これは、車が安全に走り、環境を汚さないために満たすべき基準のことです。正式には「道路運送車両の保安基準」という国土交通省令(道路運送車両法とは別に定められたルール)で、細かく決められています。

具体的には、例えばこんな項目があります。

  • ブレーキがきちんと効くか
  • ヘッドライトやウィンカーが正しく点灯するか
  • 排出ガスが基準を超えていないか

要するに「この車は安全に道路を走れる状態か」をチェックするための、合格ラインのようなものですね。検査(車検)では、この保安基準に適合しているかどうかが確認されます。

保安基準そのものは項目が非常に多く、それだけで大きなテーマになるので、別記事で詳しく取り上げる予定です。

なお、第60条後半の「検査対象軽自動車及び二輪の小型自動車については車両番号を指定しなければならない」は、軽自動車と二輪の小型自動車の話なので、建設機械の文脈では一旦飛ばします。

第60条には第2項もあります。これは建設機械に関係するので読んでみましょう。

2 検査対象軽自動車及び二輪の小型自動車以外の自動車に係る前項の規定による自動車検査証の交付は、当該自動車について新規登録をした後にしなければならない。

コツ①で読むと、「検査対象軽自動車及び二輪の小型自動車以外の自動車」には大型特殊自動車(建設機械)が含まれます。つまり建設機械については、自動車検査証の交付は、新規登録をした後にしなければならない、ということです。

ここで、第59条第2項とあわせて整理すると、新規検査と新規登録の関係が見えてきます。新規検査の申請は新規登録の申請と同時に行い(第59条第2項)、そして検査証の交付は新規登録の後に行う(第60条第2項)。検査と登録は、セットで進む手続きなんですね。


まとめ(記事2)

今回わかったことを整理します。

  • 検査について定めているのは第五章で、建設機械(大型特殊自動車)も検査の対象。
  • 検査には新規検査やその他の検査があり、新規検査は登録を受けていない自動車(新車など)を使うときに受ける。
  • 新規検査は新規登録とセットで進む(申請は同時、検査証の交付は新規登録の後)。
  • 新規検査で保安基準に適合していると認められれば、自動車検査証が交付される(第60条)。

次回予告

こうして交付される自動車検査証ですが、これには有効期間があります。次回は、その有効期間が切れた後に関わってくる「継続検査」を読んでいきます。

記事3:継続検査とは|いわゆる「車検」の正体(第62条)